関節鏡でできること

Doctor’s Voice(ドクターズ・ボイス)

藤沢湘南台病院 整形外科?川口行雄

藤沢湘南台病院 整形外科 川口行雄スポーツ愛好家のみなさんは、怪我をしたら、しっかり治して、怪我する前に戻りたいかと思います。われわれスポーツ整形外科医は、その手助けができるように、病院で日常診療をしています。

手術をしないで元の通りに戻るのであれば、それが一番いいですし、こちらもギプス治療など保存療法を勧めます。ただし、ずれのひどい骨折や緩みが残る靭帯断裂などでは、そうはいきません。早期のスポーツ復帰の手助けになるのが関節鏡による鏡視下手術です。(とはいえ関節から離れた骨折や、アキレス腱の断裂など昔も今も直視下手術です)。

関節鏡のメリットは、低侵襲(切開が小さく体への負担が少ない)であることと、病態(壊れた部分)がよく見えることです。

鏡視下手術は、手術の道具、器具の改良や開発によって手術手技が以前よりも煩雑でなくなってきており、いろいろな関節で普及し、対応できる疾患も増えてきています。

代表的である膝関節の関節鏡の手術といえば、半月板、前十字靭帯、軟骨、関節内骨折が挙げられます。半月板に関しては、以前は関節を開いて全て切除をしていたようですが、その後鏡視下で部分切除術が行われるようになりました。最近では、半月板縫合術も手術器具の進歩により症例も増え、半月板をなるべく温存できるようになってきています。また前十字靭帯の再建術は、現在では関節鏡は必要不可欠であり、当院においてもポピュラーな手術となっています。関節鏡で見ながら、新たに移植する腱の孔を作成して固定します。復帰まで7,8カ月近く要するため、手術で終わりではなく、理学療法士指導のもと行われるリハビリも重要となります。

次に肩関節ですが、手術になるようなスポーツ疾患は比較的少なく、繰り返し起こる肩の脱臼の修復術や、腱板と呼ばれる腱の縫合術などが行われます。以前は切開が必要でかつ大変でした。現在は、骨の中に固定できてかつ糸がついている器具が登場し、関節鏡で修復しています。ただしラグビーなどのコンタクトスポーツの選手のときは再脱臼しないように補強するので切開して行っています。腱板の修復も最後に少し切開を加えて確実に縫合しています。鏡視下手術も使い分けているのが現状です。

肘関節と足関節はスポーツのやりすぎでできた、関節ネズミや骨のでっぱり(骨棘)を摘出する手術がほとんどです。

手関節は関節鏡で対応できるスポーツの怪我が少なく、股関節はいまだ発展途上で、器具の進歩とともに、これから多くの病院で行われるようになると思います。

以上ざっと鏡視下手術の現状についてお話しました。

(川口行雄「関節鏡でできること」DASH!ふじさわ 2013, Vol.48, p.2)