藤沢市民オペラ「フィガロの結婚」稽古の様子&出演者コメント3
すっかり秋を感じる気候になってきました。公演初日まで1ヶ月を切り、立ち稽古もまとめの時期に入ってきた印象があります。前回に引き続き、出演者の皆さんに本公演に向けての意気込みや進捗状況などを語ってもらいました。
?出演者コメント
伯爵夫人ロジーナ:谷原 めぐみ(11/17,24出演)
稽古の雰囲気は非常にまじめで、皆さん大変真剣に取り組んでいるという印象があります。今回の「フィガロの結婚」のロジーナは初役ですが、私のデビューが「セヴィリアの理髪師」のロジーナでした。そのロジーナがどのように成長し、伯爵夫人として、劇中で繰り広げられる土壇場をどのように切り抜けるかという一連の流れを演じていきたいです。また、「フィガロの結婚」はアンサンブルがとても重要なので、相手のことや場面を見ながら、動きも歌もそれぞれのアンサンブルを楽しく演じていきたいと思います。
ケルビーノ:青木 エマ(11/17,24出演)
現場によっては、最初から最後まで通して、また冒頭に戻るという稽古の進め方をする稽古場も結構あるのですが、ここでは最初のシーンから、少しずつ固めていきながら進めています。今後、稽古が進んでいくと、ますます中身が濃くなっていくのではないかなと思います。稽古場では、共演者の皆様は経験豊富な方々なので、諸先輩方の胸を借りながら、日々稽古に励んでいます。藤沢は学生時代に通っていたので、なじみがとても深いです。先日母校の文化祭でチラシを配布したのですが、東京で行う舞台よりも身近に感じると喜んで頂きました。卒業生の私が藤沢で出演している舞台なので、後輩達も見に来てくれるといいなと思っています。この神奈川県の中で、この藤沢で、伝統をもって行われている藤沢市民オペラに、多くの近隣の方に来ていただいて、これからも続いていくように応援してほしいと思います。
マルチェッリーナ:清水 華澄(11/16,23出演)
スケジュールの関係で稽古に出てきてから日にちも浅いのですが、出演者の皆さんがとても集中して稽古に励んでいて、その中にも和やかなところもあり、いい意味で緊張感とリラックスしているところが両方あるという印象です。限られた時間の中で、一気に集中して稽古をしているので、終わった後は、とても充実感があります。その日の稽古で得たものをそれぞれが持ち帰り、考え、消化して、次の稽古で出し切るという良いサイクルがあるように感じます。演出の岩田さんの情熱にモチベーションを引き上げられて、役に対する理解の新たな側面を引き出していただいています。現場では共演者とも岩田さんとも会話が多くあり、一方的に言われてやるだけではなく、自分からも考えついたこと、視点、経験値を言葉にして話が出来る環境があります。今回いただいたマルチェッリーナ役は、二期会公演でもやらせていただいて以来2度目になります。アリアがありカットがない「フィガロの結婚」マルチェッリーナ役をやるのは初めてなので、これから約一ヶ月間、今まで以上にじっくり楽譜と向き合って、新しいマルチェッリーナを生み出していきたいと思います。更に皆さんとの稽古が進んでいくと、お互いの関係性がより深まり、新しい発見もあると思います。もちろん、舞台というのは怖いところですから、恐怖心もありますし、不安もたくさんあります。ですので、本番に向けて私に出来ることをすべてやろうと思います。もちろん本番でもやってきたことを信じ、自然体で、思い切り、すべてを出し切ります。
ドン・バルトロ:武田 直之(11/17,24出演)
岩田さんの深いキャラクターの洞察力が織りなす動きのアンサンブル、キャラクターの心理のアンサンブルが、稽古の度に明確になってきています。また、稽古が進むにつれて、キャラクターがどのように感じ、思い、動いているのかということが、演技だけではなく、芝居の中のブレス、間にも息づいてきています。その中で、自分に与えられたバルトロ役をいかに浮き立たせるかということを必死に稽古しています。そのアンサンブルを見るだけでも、大変価値のある舞台になるのではないかと思います。毎回の稽古で、自分の登場以外のシーンを見て、今まで心にとめず流していた簡単な言葉でも、岩田さんの知識やオペラの舞台把握能力のフィルターを一度通すと、言葉の意味やニュアンスを再発見することができて楽しいし、大変勉強になります。「フィガロの結婚」は、出演者の皆さんも何度も出演しているはずなのに、新しい発見が日々自分たちの中にあります。今までに「フィガロの結婚」を見たことのあるお客さんにも新たな発見をしていただけると思いますし、まだ見たことのないお客様にも綿密に織り込まれた一つ一つのシーンにご満足いただけると思います。